政府は子ども政策の新たな財源確保のために公的医療保険の保険料などに上乗せ徴収する案を与党に示す調整に入った。3年間の集中対策期間で多子世帯への児童手当の加算など予算を増額する分の一部に充てる。幅広い世代や企業に負担を求める一方で、税制論議の機運は乏しい。
財源は社会保障分野での歳出を削減した上で足りない部分について新たに負担増を求める。経団連などが提起する消費税による財源確保は見送る。
政府は近く、こども未来戦略会議で安定的な財源の確保策について議論を始める。岸田文雄首相は17日の会合で6月までに財源を含む政策の方向性をとりまとめるよう指示した。与党と調整したうえで経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)に盛り込む。
予算規模は具体的な政策次第となる。政府内には1兆円ほどとの相場があり、その場合は保険料への上乗せは年間で数千円とみられる。
公的医療保険は自営業者らを対象とした国民健康保険(国保)や、会社員やその家族が入る健康保険組合が事務を運営している。全国民が加入し若年層から高齢者まで幅広い世代が保険料を出す。企業ごとの健保組合や主に中小企業が加盟する全国健康保険協会(協会けんぽ)は事業者と被保険者が健康保険料を折半している。