歯や歯茎のトラブルの原因になりやすい上、抜いた後も腫れや痛みが出ることが多いなど、ネガティブなイメージを持たれやすい「親知らず」。通常は上下2本ずつ、計4本の親知らずが生えてきますが、中には「上の親知らずがなかった」「1本も生えてこなかった」という人も少なからずいるようです。これについて、うらやむ声も聞かれる一方で「どうして生えてこない人がいるの?」「歯茎の中に埋まっているだけでは」といった疑問の声もあります。 【閲覧注意】こんな向きで生えるの…!? 下顎の歯茎に埋まった「親知らず」 親知らずが4本そろって生える人と、そうでない人の違いはどこにあるのでしょうか。高谷秀雄歯科クリニック(宇都宮市)院長で歯科医師の高谷秀雄さんに聞きました。
遺伝によって生えてこないケースも
Q.そもそも、「親知らず」とはどんな歯ですか。 高谷さん「親知らずとは、大臼歯(だいきゅうし)の中で最も歯列の後ろ(奥)に位置する歯です。親知らずの正式名称は『第三大臼歯』で、『智歯(ちし)』とも呼ばれます。一般的な親知らずは、上顎の左右2本、下顎の左右2本の計4本あり、時期としては18歳前後から生えてきます。 親知らずが斜めや横向きに生えている場合、基本的に抜歯をお勧めしています。真っ直ぐに生えている場合でも、虫歯の進行具合や、何度も清掃不良で腫れを繰り返しているケースでは、抜歯の対象になります」 Q.親知らずが1本も生えてこない人や、生える本数が少ない人がいるようですが、これはなぜですか。 高谷さん「『親知らずが生えてこない』という言葉には、3つの意味があります。1つ目は、『見える形で生えてくるかどうか』です。歯茎の上に出てくると肉眼で確認できるので、歯科医院に行かなくても『親知らずがある』と分かります。