「親知らず」、生える人と生えない人がいるのはなぜ? 歯科医師に聞いてみた(続き)
2023年05月19日 12:36
2つ目は、『親知らずはあるが、歯茎の中に埋まっている』です。これは後々歯茎の上に出てくる可能性がある親知らずですが、肉眼では確認できないため、歯科医院でエックス線撮影をする必要があります。ただ、エックス線撮影をしても『親知らず自体が存在しない』ケースもあり、これが3つ目の意味にあたります。
親知らずが生えてこない理由として、(1)歯の生える顎の骨のスペース不足(2)遺伝によって『歯胚(しはい)』が発生しない―の2点が挙げられます。(2)の『歯胚』とは、人間の顎の骨の中に発生する、いわば“歯の卵”の状態のものです。歯胚が徐々に成長し、正常な永久歯の形に変化していくのですが、歯胚の数は生まれたときから決まっており、親からの遺伝が関係しているといわれています」
Q.生えてくる親知らずの本数が少ない場合、何かデメリットはあるのでしょうか。
高谷さん「親知らずの本数が足りないと、『遺伝的な異常があるのでは』と不安になる人もいますが、親知らずがなくても異常ではありません。
ただし、親知らずが歯茎に埋まり、出られない状態となっている『埋伏(まいふく)』の場合は状況が異なります。この場合、親知らずの手前の第二大臼歯が虫歯や歯周病に罹患(りかん)する可能性がある他、埋伏した親知らずの周囲に感染が起き、顎骨を溶かすできものが発生する病変『含歯性嚢胞(がんしせいのうほう)』の発症リスクがあるためです。
自分の親知らずが何本生えてくるかを知る方法は、『自分で口の中を見て、目に見える形で生えてきているかを確認する』『自分の目で確認できない場合、歯科医院でエックス線撮影をする』の2つです。親知らずについて不安なことがあれば、歯科医院で相談してみましょう」